余り長く休んでいると忘れられてしまうので、少し無理してでも再開します。
ところで、これまで”二酸化炭素はそんなに悪者なのか その*”の表題で書いて来たが、このまま行くと、その50などということになりかねないので、その都度表題を変える事にしました。
さて、前回は「上昇した大気の温度が海水面を暖めるのか?」で終わって、次回に続ける事にしたが、やはり論議する材料になるようなものは見つからなかった。
最近の日経の社説の中で、大気の熱を海が吸収する仕組みが明らかになったと言う記述があったが、インターネットではその元となったであろう情報はやはり見つからなかった。
その代わり、いろいろと問題にされている北極圏の海氷の変化を見ることが出来るサイトがあったので、紹介したい。
IARC-JAXA情報システム(IJIS)(http://www.ijis.iarc.uaf.edu/jp/index.htm)がそれである。
そこで、サイトの中の海氷域面積の推移を示すグラフ(http://www.ijis.iarc.uaf.edu/jp/seaice/extent.htm)から2012年に過去最小を記録していることが分かるので、その年の1月から12月まで毎月15日の海氷域面積の変化を下に並べてみた。
日付は右上に表示されている。
白い部分が2012年の当月当日の海氷の分布で、白(薄いクリーム)、薄いオレンジ、濃いオレンジ色の線は、それぞれ海氷域の外縁の1980年代の平均、1990年代の平均、2000年代の平均を示している。
右は1月15日の画像であるが、これを見ると、グリーンランドとロシアの間の海域の2ヶ所で1980年代から現在まで、楔が進入するように氷のない部分(青い部分)が拡大しているのが特徴的である。
もう少し詳しく見ると;
・1980年代から1990年代にかけてグリーンランドの東岸で海氷域の後退が著しい。
・ロシアに近い方の楔形は1980年代から1990年代までは楔形を形成していないが、2000年代には楔形(と言うよりも丸い形)で進入し、2012年は楔形になっている。
・グリーンランドに近い方の楔形は、1980年代に既に楔形を形成しており、2012年はかなり大きく進入している。
反対側(ベーリング海)では1980年代から2012年までほとんど変化がない。
ただしサハリンの北から北東の海域では、この間にかなり海氷域が後退している。
2月になると、バレンツ海の東の島(名前が分からない、図の黒丸の左上)を越えてカラ海まで氷が融けている。
1月にかなり食い込んでいたグリーンランドの東の島(図でグリーンランドの左側)の西側の楔は2月にはやや後退している。
また、カナダの北東域で、以前はずいぶん張り出していた氷が1990年代から2000年代にかけて顕著に後退しているのが見て取れる。
ベーリング海の海氷は、1980年代から2000年代にかけて、アラスカ沿岸を除いて大きく変化していない。
図で見る限り、2012年でも氷が網走近くに達している。
3月は、カラ海は再び氷に閉ざされるが、その右側の氷の融けている部分は北極圏に向けて延びている。
ベーリング海の氷は2000年代より明らかに多く、1990年代よりも多い。
3月は、カラ海は再び氷に閉ざされるが、その右側の氷の融けている部分は北極圏に向けて延びている。
ベーリング海の氷は2000年代より明らかに多く、1990年代よりも多い。
4月から5月にかけての変化で目立つのは、グリーンランド西側の海岸線とベーリング海峡辺りの氷の変化である。
グリーンランド西側の海岸線で氷の融解域が増えている。
ベーリング海峡付近では、顕著に海峡の直ぐそばで氷の融けている部分が見られる。
この部分は注目する必要がある。
6月にはいると氷の融解は一気に進む。
ロシアの北岸、アラスカの北岸で、明らかに氷が海岸線から離れている。
ベーリング海の氷はなくなっている。
この変化の原因をどう捉えるかはまた後で検討したい。
7月、1980年代から2000年代にかけて海氷域の現象が急激に進んだことが見て取れる。
8月、同様に、氷の面積の著しい減少が見て取れる。
ロシア側は船舶の航行が可能に見える。
9月は従来から氷の面積が極小になる月であるが、2012年の氷の面積はこれまでと比べて極端に少ない。
10月に入ると氷の面積は回復し始める。
しかし、その面積は以前に比べて極めて小さい。
11月、氷の面積は回復し続けている。
しかし北大西洋の側では、やはり以前に比べて氷の面積は小さい。
ただ面白いのは、ベーリング海峡側で、以前よりも氷の面積の回復が速い事である。
アラスカの西側で既に結氷しかけている。
12月、ベーリング海では以前と同じペースで結氷域が広がっている。
北大西洋側では、結氷域の拡大が以前に比べて大幅に遅い。
2012年の氷の面積の変化を通じて、北極海の氷の融解には北大西洋から流れ込む海水の温度上昇が大きな影響を与えていることが視覚的に良く分かる。
これからの2枚は、2013年の8月と9月の写真であるが、2012年に比べて氷の面積はむしろ大きいが、氷の厚さが大きく減少しているのではないかと懸念される画像である。
最近発売されたニューズウィーク日本版(2013年12月17日号)では北極海の氷の問題を特集しているが、そこでも氷の面積だけではなく、氷の厚さが大きく減少していることに触れている。
画像から見て取れる氷の面積だけではなく、厚さをも含めた氷の総量が想像以上に減少しているのではないだろうか。
上述のニューズウィークでは、2015年にも北極海の氷が完全の溶けるとの予測も紹介しているが、その可能性は十分懸念されねばならないだろう。
次回は、氷の融ける原因について、海流の動きも含めて少し詳しく検討したい。
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