2013年12月22日日曜日

北極海の海氷域面積が減少する原因-1 13-12-1

 


 余り長く休んでいると忘れられてしまうので、少し無理してでも再開します。
 ところで、これまで”二酸化炭素はそんなに悪者なのか その*”の表題で書いて来たが、このまま行くと、その50などということになりかねないので、その都度表題を変える事にしました。
 さて、前回は「上昇した大気の温度が海水面を暖めるのか?」で終わって、次回に続ける事にしたが、やはり論議する材料になるようなものは見つからなかった。
 最近の日経の社説の中で、大気の熱を海が吸収する仕組みが明らかになったと言う記述があったが、インターネットではその元となったであろう情報はやはり見つからなかった。

 その代わり、いろいろと問題にされている北極圏の海氷の変化を見ることが出来るサイトがあったので、紹介したい。
 IARC-JAXA情報システム(IJIS)(http://www.ijis.iarc.uaf.edu/jp/index.htm)がそれである。
 そこで、サイトの中の海氷域面積の推移を示すグラフ(http://www.ijis.iarc.uaf.edu/jp/seaice/extent.htm)から2012年に過去最小を記録していることが分かるので、その年の1月から12月まで毎月15日の海氷域面積の変化を下に並べてみた。
 日付は右上に表示されている。
 白い部分が2012年の当月当日の海氷の分布で、白(薄いクリーム)、薄いオレンジ、濃いオレンジ色の線は、それぞれ海氷域の外縁の1980年代の平均、1990年代の平均、2000年代の平均を示している。


 右は1月15日の画像であるが、これを見ると、グリーンランドとロシアの間の海域の2ヶ所で1980年代から現在まで、楔が進入するように氷のない部分(青い部分)が拡大しているのが特徴的である。
もう少し詳しく見ると;
・1980年代から1990年代にかけてグリーンランドの東岸で海氷域の後退が著しい。
・ロシアに近い方の楔形は1980年代から1990年代までは楔形を形成していないが、2000年代には楔形(と言うよりも丸い形)で進入し、2012年は楔形になっている。
・グリーンランドに近い方の楔形は、1980年代に既に楔形を形成しており、2012年はかなり大きく進入している。
・カナダのNewfoundland and Labradorの南の方(図の右上)で1990年代から2000年代にかけて海氷域の顕著な後退が見られる。
 反対側(ベーリング海)では1980年代から2012年までほとんど変化がない。
 ただしサハリンの北から北東の海域では、この間にかなり海氷域が後退している。

 2月になると、バレンツ海の東の島(名前が分からない、図の黒丸の左上)を越えてカラ海まで氷が融けている。
 1月にかなり食い込んでいたグリーンランドの東の島(図でグリーンランドの左側)の西側の楔は2月にはやや後退している。
 また、カナダの北東域で、以前はずいぶん張り出していた氷が1990年代から2000年代にかけて顕著に後退しているのが見て取れる。
 ベーリング海の海氷は、1980年代から2000年代にかけて、アラスカ沿岸を除いて大きく変化していない。
 サハリンの北東~東の海域の氷は1980年代から徐々に後退しているが、ロシアの北岸ほどの大きな変化は見られない。海氷面積は1月よりも増えている。
図で見る限り、2012年でも氷が網走近くに達している。

3月は、カラ海は再び氷に閉ざされるが、その右側の氷の融けている部分は北極圏に向けて延びている。
ベーリング海の氷は2000年代より明らかに多く、1990年代よりも多い。













 グリーンランドの西側での氷の融解は3月よりも進んでいるが、ロシア側、グリーンランドの東側ではむしろ3月より氷の面積は増えている。






 4月から5月にかけての変化で目立つのは、グリーンランド西側の海岸線とベーリング海峡辺りの氷の変化である。
 グリーンランド西側の海岸線で氷の融解域が増えている。
 ベーリング海峡付近では、顕著に海峡の直ぐそばで氷の融けている部分が見られる。
 この部分は注目する必要がある。















 6月にはいると氷の融解は一気に進む。
 ロシアの北岸、アラスカの北岸で、明らかに氷が海岸線から離れている。
 ベーリング海の氷はなくなっている。
 この変化の原因をどう捉えるかはまた後で検討したい。


















 7月、1980年代から2000年代にかけて海氷域の現象が急激に進んだことが見て取れる。
























 8月、同様に、氷の面積の著しい減少が見て取れる。
 ロシア側は船舶の航行が可能に見える。


9月は従来から氷の面積が極小になる月であるが、2012年の氷の面積はこれまでと比べて極端に少ない。























10月に入ると氷の面積は回復し始める。
 しかし、その面積は以前に比べて極めて小さい。





















11月、氷の面積は回復し続けている。
 しかし北大西洋の側では、やはり以前に比べて氷の面積は小さい。
 ただ面白いのは、ベーリング海峡側で、以前よりも氷の面積の回復が速い事である。
 アラスカの西側で既に結氷しかけている。












12月、ベーリング海では以前と同じペースで結氷域が広がっている。
 北大西洋側では、結氷域の拡大が以前に比べて大幅に遅い。


 2012年の氷の面積の変化を通じて、北極海の氷の融解には北大西洋から流れ込む海水の温度上昇が大きな影響を与えていることが視覚的に良く分かる。

 これからの2枚は、2013年の8月と9月の写真であるが、2012年に比べて氷の面積はむしろ大きいが、氷の厚さが大きく減少しているのではないかと懸念される画像である。
 最近発売されたニューズウィーク日本版(2013年12月17日号)では北極海の氷の問題を特集しているが、そこでも氷の面積だけではなく、氷の厚さが大きく減少していることに触れている。
 画像から見て取れる氷の面積だけではなく、厚さをも含めた氷の総量が想像以上に減少しているのではないだろうか。
 上述のニューズウィークでは、2015年にも北極海の氷が完全の溶けるとの予測も紹介しているが、その可能性は十分懸念されねばならないだろう。






 次回は、氷の融ける原因について、海流の動きも含めて少し詳しく検討したい。
 























2013年8月18日日曜日

可動ルーバー雨戸、可動ルーバー外付けブラインド_13-8-2

 もう数年前いになるが、環境関連の展示会で外付けのブラインドは室内のブラインドよりも夏の室温上昇の防止効果が高い、と言う説明を聞いた。
 それをずっと憶えていて、だったら可動ルーバー雨戸と言うものも戸建住宅に良いのではないかと思いつき、このブログに書く事を思いついた。

 でも念のためと思い、”可動ルーバー雨戸”、”外付けブラインド”で検索してみたら、何と!、ぞろぞろと出て来た。
 既にいろいろなタイプが市販されていたのである。

 可動ルーバー雨戸は、家庭の省エネ対策に最適だし、1階に寝室がある場合でも、これなら窓を開けて風を通して寝ることが出来るし、女性の一人住まいでも、この雨戸があれば、ガラス窓をあけて網戸だけにしても安心して寝られる。
 ただ、色はどうしてもブロンズなどに偏りそうであるが、省エネ効果を重視すれば白色が良いと思う。

 外付けブラインドを都市のビルの窓に設置すれば、光熱費のかなりの節減が可能になるであろうし、それに止まらずビルの窓ガラスからの反射光が道路に到達し、ヒートアイランド現象の一因となるのも減らすことが出来る。

 このような地道な省エネの努力が続けられれば、原発が稼動していないから電力の需給が危ない、等と言わせないようにすることが出来るだろう。


 新聞記事を見て、ブログに書いている人(企業?)もあった。

 http://www.chikyuhouse.jp/blog/detail/0051.html

 まだ、北極海の氷の解ける原因まで進んでもいないが、思い立った時が何とやらで、とりあえず投稿です。
 

2013年8月9日金曜日

二酸化炭素はそんなに悪者なのか その4 13-8-1

 <前回(13-7-4)の続き>
 観測された約140年間の温度上昇は、北海とバルト海が(元の数字を見つけられなかったが)極めて大きく、1.6℃程度である。
 これは北大西洋の1980年から2010年までの温度上昇0.6度(気象庁の下記URL)の3倍近く、全球平均の3倍である。

 興味を引かれるのは、バルト海は内湾のようなものであり、北海も周りを陸地に囲まれて日本海と同様の環境である点であり、どちらも外側の海(日本では北太平洋、ヨーロッパでは北大西洋)の温度上昇の2倍以上、3倍近い点である。
 http://www.data.kishou.go.jp/shindan/a_1/japan_warm/japan_warm.html




 大きく広がった水域でなく、陸地に囲まれた狭い水域でかつ発熱源が近くにある海域(バルト海、北海、日本海)で温度上昇が大きいのは、人間の活動の結果を疑いたくなる。
 そこで、海水面の温度上昇の原因について言及した報告などをネットで検索したが、ほとんど見つけることが出来なかった。
 辛うじて見つけたのが、日本の気象庁の下記のサイトである。

 少々長いが、冒頭の要約の部分を下記に引用する。
診断概要
 診断内容
 世界全体の年平均地上気温(陸域における地表付近の気温と海面水温の平均)は、1891年から2007年までの117年間で100年あたり0.67℃の割合で上昇しており、その大部分は地球温暖化によるものと考えられている。一方、地球表面の7割を占め大気の約1000倍もの熱容量をもつ海洋は、大気の温暖化に大きな影響を及ぼしていると考えられる。ここでは、世界の海面水温について、2007年までの約100年間の長期変化傾向を診断する。
 診断結果
 世界の年平均海面水温は、100年あたり0.50℃上昇していた。これは世界の陸上気温(陸域における地表付近の気温)の上昇率(100年あたり0.78℃)より小さかった。また、半球別に海面水温の長期変化傾向を見ると、北半球(100年あたり0.53)のほうが南半球(100年あたり0.47℃)より上昇率が大きかった。これらの事実は、気候モデルと呼ばれる数値モデルで地球温暖化について計算した結果と符合している。海面水温の長期的な上昇傾向には、地球温暖化の影響が現れている可能性が高い。

 何回読んでも、大気が暖められた結果海水面の温度も高くなったのだ、としか読み取れない。

 しょうがないので、海洋の上の大気が下の海水の温度を高めるメカニズムを記した報告があるのか検索したが、素人にも分かるように明快に説明したモデルは見当たらなかった。
 と言うよりも、そもそもそんな事はあり得ないと思うのだが、それについては次回に・・・。


 <続く>


2013年7月26日金曜日

二酸化炭素はそんなに悪者なのか その3 13-7-4

 ですます調はどうも文章が書きづらいので、今回から変えます。

 前の投稿では、日本近海での海水面の温度上昇を示した気象庁のデータを下記に紹介したが、

さらに他の地域、ヨーロッパ近海、北大西洋の海水面の温度上昇も調べてみた。

 見つかったのは”European Environment Agency”のサイト(下記)で、


その中の下記のURLにあった。



掲載されていた図は、コンパクトにまとめられていたので、下に引用する。


 北大西洋については、気象庁の下記サイトにも載っており、上の図と厳密には一致しないが、移動平均のとり方の違いであろう。


気象庁でも全球平均の平年差の推移の図が載っており、やはり上の図と異なっている。


ヨーロッパの方が移動平均をとる年数が長いのであろう。サイトの中に説明があったかも知れないが見つけられなかった。

 図で顕著に示されているのが、バルト海と北海の温度が1970年代前半から1982年頃まで急激に下がったあと今度は急激に上昇している点である。地中海もこれほど顕著ではないが、同様の経過が見て取れる。北大西洋は1950年代後半の高温期から一旦下がった後1970年頃から上昇し始め、1990年頃から上昇のペースがやや上がっている。黒海は、1940年頃と1960年代後半に大きな上昇が見られ、1990年頃からは地中海と似た推移をたどっている。

 1回に余り長く書くと息切れするので・・、<続く>



2013年7月17日水曜日

野田佳彦効果、挟み込みですが・・ 13-7-3

 参議院選挙では民主党の苦境が伝えられています。
 しかし、これは昨年末の衆議院選挙の時からつづいていた傾向ではないでしょうか。

 私の住んでいる岐阜県各務原市では、2月に市議会議員選挙があったのですが、そこで今までと明らかに流れの変わる情況が見られました。
 これまで労組系(民主系)の議席はほぼ指定席で、今回の選挙でも定数24のうち労組系4、公明2、共産2は指定席で、残り16をその他(保守系)で争う選挙だと事前に言われていました。
 結果は驚くなかれ、労組系4人のうち当選は一人、残り3人が落選と言う結果でした。
 これは私(達)にとってもまさにビックリでした。

 まさに野田佳彦効果だね、と話し合った記憶があります。

 しかし、その後の民主党の人々の発言・行動をメディアの報道で見る限り、衆院選の敗北から学んだ形跡は感じ取れません。

 脱原発よりも消費税増税を大切にした野田さんを党首にいただいた民主党が選挙で負けるのはある意味当然と思えるのですが、当の野田さんは今何を考えているのでしょうね。
 案外、自分は消費税増税で将来の日本の破綻を防いだ歴史に名を残す宰相であると、反芻しているのではないでしょうか・・?

 とjころで、東京選挙区の山本太郎さんの健闘が日経にさえも載せられています。
 がんばって当選して欲しいです。私は何も応援も出来ませんが。でも、ガンバレ!

2013年7月15日月曜日

二酸化炭素はそんなに悪者なのか その2 13-7-2

 二酸化炭素が地球温暖化の主因であるとする説に疑問を持ち始めたのは、福島の原発事故からです。
 直接のきっかけは、原発に依存せず再生可能エネルギーだけでどこまで電力を賄えるのか調べ始める中で、原発は発電効率が他の火力などに比べて相当劣り、エネルギーの2/3を海に(日本の場合)捨てていることを知った事です。
 それ以前は、二酸化炭素地球温暖化主犯説を素直に信じていました。ただその中でも、二酸化炭素の発生と同時に出た熱は何処へ行くのか、地球温暖化に全く影響していないのか、漠然と疑問は持っていました。この数十年間本当に温暖化しているのかどうかについてはいろいろな説がありますが、それについてはもう少し先で触れる予定です。)
 現在のIPCCが描くところの二酸化炭素温暖化主因説ではこの燃焼過程から排出された熱と地球温暖化との関係は語られていません。
 しかし海水面の温度は、2012年までのおよそ100年間で、世界全体での平均では+0.51℃、日本近海では+0.63℃~+1.72℃(平均で+1.08℃)上昇しています。

(気象庁のページより。)

日本の陸上での気温上昇を上回っている海域もあり、二酸化炭素が大気を暖め、その影響で海水面の温度も上昇したと考えるには無理があります。


<続く>

2013年7月8日月曜日

二酸化炭素はそんなに悪者なのか。13-7-1

 原発を推進する根拠として、二酸化炭素を排出せず地球を温暖化しないよい発電である、と言うことが言われていました。今も言われています。
 しかし、私はこの二酸化炭素地球温暖化主犯説に最近強い疑問を持っています。

 脱原発がなぜ温室効果ガスの問題から始まるのか不思議に思われるでしょうが、こういうアプローチもあって良いのではないかと考えています。

 今回はとに角第一歩、と言うことで次から少しづつ書いていきます。